第61話

そのあと、店のママに話を聞くと、凜太郎が初めて来た日の話から今までの話をしてくれた。



「凜太郎さんね、銀之助さんに頼まれたからってミサキちゃんを指名したんだけどね。


初めはただじーっとミサキちゃんを見つめるだけだったの。

普通は指名してくれたのに、何も喋らないお客さんがいれば少しは嫌な顔しちゃったりまたはその沈黙が耐えられなくって喋り倒しちゃったりするのよ。


でもミサキちゃんは、違ったの。

じっと見られているのに臆せずにそのままニコリともせずに見つめたの」




「え?なんで?」




「ふふ、私も思ってたわよ。

なんでニコリともしないのかしらって。

そしたら凜太郎さんもそう思ったみたいで、何故笑わない?って聞いたの」




「へえ、そんで?ミサはなんて答えたんだ?」




なんとなく、アイツは無表情で言うのは想像がついた。

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