弱弱しく

 プー、と


 信号が青に変わったのに発進しない高森の車に向けて、後続の車がクラクションを鳴らす。

 その音のお陰で、私が今置かれている状況を把握できた。



「行って、ください…」


「え?」


「信号。青ですよ?」


「…、わかりました」



 降りると言ったり、行けと言ったり。

 私の意味不明な言動に、高森が不思議そうにこちらを見ながら車を発進させる。



「本当に、大丈夫ですか?」



 ハンドルを握る高森は、口を開かなくなった私に何回も話しかける。

 タメ口はすっかり忘れているようだ。



「…はい、すみません。大丈夫です…」



 返事をするにも、私は弱々しい声しか出なくて。

 少し車が走ると、高森は車を路肩に寄せる。



「すみません。ちょっとだけ待っててください」



 そう言って運転席を離れた高森は、車内に私1人を残していく。

 ハザードのランプがカチカチと音を立てる以外、とても静かだった。



 バタン


 高級車はドアが閉まる時でさえ作りの良さを感じる。

 少し息があがった高森は、シートベルトをすると、「これ、どうぞ」と話しかけてきた。

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