第10話

綾子から会社のメールで個人的な用件で入ってくるのは珍しいことだった。



プライベートで飲みに誘われたり、誘ったりするときはプライベート用の携帯でやり取りしている。



でも、社内メールでってことは、何かあるのかな?



桐島のことか?



最近話を聞いてないけど、あいつまだ諦めてないのかな。



それとも裕二とのこと?



前、喧嘩してたもんなぁ。こじれたままなのか…?





そんなことを考えながら、あっという間に時間は過ぎていった。



定時の18時を過ぎると、緑川さんはそそくさと帰っていく。



19時過ぎには佐々木が。



柏木さんもこの日は珍しく19時40分に、俺のメールに日報が届いた。



いつもは23時過ぎなのに。



「あれ?今日は早いね」



さりげなく腕時計を見て、柏木さんに視線を移した。



「今日はちょっと用事があるんです」



「用事って…まさか、デート?」



探るように目だけを上にあげると、



「まぁ、そんなものです」と柏木さんが相変わらずけだるい感じで面倒くさそうに答えた。



なぬ!!?





デートだとぅ!!?



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