第7話

かけていたサングラスを外した彼は、やっぱり今朝私を見送ってくれたナオくんで、



「……松野さん、ゆづに近付きすぎ」



その顔はとても不機嫌そうな表情をしていた。



けれど、



「きゃー! イケメンが2人!」



サングラスなしだとその麗しいナオくんの顔が露わになったので、周りの女性客たちが騒ぎ始めた。



すぐ近くに友季さんもいるので、この2人が揃うと目立つことこの上ない。



周りがざわざわと騒いでいるのに、



「しかも、中にいるあのチャラ男は誰だよ。ゆづとの距離感おかしいだろ」



「あー……坂下のことかな、それ」



当のイケメン2人はそれを全く気にした素振りも見せずに話を進める。



人に注目されることに慣れている彼らは、こんなことでは一々動じないらしい。



「立派なセクハラだぞ、あれは」



「悪い。それは後で注意しとく」



どんどん話を進めていく2人に、周囲の視線を気にしている私は全くついていけない。



「で? 今日、仕事は?」



友季さんの質問に、ナオくんはとてもバツが悪そうに私の顔をちらりと見上げてから、



「……元から休み」



ぼそりと呟くように吐き出した。



「え……?」



じゃあ、ナオくんの分のに私のお弁当を作ってくれたというのも、やっぱり嘘なんだ。

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