第3話
「うん。私も寂しいよ…」
ようやく恋人同士になれたのだから、一緒に過ごせる時間が減るのはとても寂しい。
「仕方ねーな。寂しがり屋の幸奈さんに、俺からのプレゼント」
こっちへおいでと手招きされたので、ソファの上に座る愁の元へと近づいた。
「俺の膝の上に座って。早く」
甘えたい気分だったので、私はすんなり愁の膝の上に乗った。
「もっとくっつかないと、意味がないだろ?」
愁が私を抱き寄せた。
より密着した状態となり、愁の体温がより近くに感じた。
「あのさ、俺は今の話をちゃんと聞けて、少しホッとしたんだ。もし、浮気してたら、どうしようとか考えちゃってさ。
だって、知らない男から電話なんてかかってきたら、普通はそう思わないか?」
正しくその通りである。逆の立場だったら、もっと不安になっていたと思う。
愁を不安にさせた不甲斐ない自分の行動に、私は落ち込んだ。
「ごめんなさい。不安にさせちゃって…」
謝っても許してもえるとは思っていない。
ただ、自分が許せないだけだ。やっと手に入れた幸せを大切にすると、決めた矢先の出来事だったからである。
「幸奈が謝る必要なんてない。俺が自分に自信がなかっただけだ」
しかし、自分のせいで不安にさせたことに、申し訳ない気持ちになった。
そんな私を見て、愁はある提案をする。
「そんなに気にしちゃうなら、幸奈に責任取ってもらおうかな」
「うん。責任取るから、何でも言って」
「今から俺としよっか。今日は幸奈がリードするのはどう?」
自分がリードすることは殆どなかったので、上手くできるか不安だ。
「大丈夫。幸奈なら上手くできるよ。あと、他にも色々してもらうからね?」
これはお仕置きなので、愁のしたいことを優先したい。
言われるがままに、私は愁の指示に従った。
「幸奈、よく頑張ったな」
愁が優しく私の頭を撫でてくれた。
そのまま私のおでこに優しくキスをし、腕枕をして一緒に眠った。
愁の腕枕に安心し、朝までぐっすりと眠れた。
恋人同士になってから、愁はずっと優しい。
きっと付き合う前に、たくさん私を傷つけてしまった罪悪感があるからであろう。
そんな愁の優しさに触れて、改めてこの人の彼女になったのだと、実感している。
こんな日々がずっと続けばいいのに…と思った。
*
幸せな気持ちのまま、朝を迎え、目を覚ました。
先に起きていた愁は、私のために朝ご飯を作ってくれていた。
「おはよう。よく眠れた?」
「おはよう。よく眠れたよ。朝ご飯、作ってくれてありがとう」
仲良く二人で一緒に朝食を食べた。
そして、話題はバイトの話へと戻った。
「昨日言ってたバイトって、結局、どうなったんだ?」
あの後、そのまま寝てしまったため、蒼空に折り返し電話をかけていないため、どうなったのか分からない。
後で蒼空に連絡してみようと思う。
「うーん、それがまだ分からなくて。この後、電話して詳しく話を聞こうかなと思ってる」
「そっか。無事に働けるといいな」
「うん!そうなることを願ってる」
朝食を終えた後、蒼空に電話を折り返し、バイトの話を聞いた。
すると、店長に話を通したら、今すぐにでも面接を受けに来てほしいという話になり、急遽面接を受けに行くことに…。
軽い面接を受け、後日、合格の電話がかかってきて、すぐに働くことになった。
大学二年生になり、恋も仕事も勉学も良い調子だ。
これから新たに始まるアルバイトを楽しみに、期待を胸に膨らませているのであった。
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