★マークの書かれた上履き

第14話

声が印象的で謎ばかりが残るカーテン越しの彼に出会ってから、およそ二週間後。




朝から地味に痛む頭痛に悩まされた私は、午前中の休み時間を使い、保健室を訪れる事になった。




「先生、頭痛がひどいので横になってもいいですか」




今回で二度目となる保健室。


足を踏み入れるなり自然と目が彼の姿を探したのは、あの日の記憶が根強く残ったから。




部屋の奥のベッドのカーテンが閉まってるのを横目で見た私は、今日も彼は保健室に来てるのではと軽く脳裏を過ぎった。




養護教諭から手渡された書類には、あの日と同様名前欄には再び★マーク一つだけが書かれていた。



窓から差し込む風で肩までの短い髪を軽く靡かせた紗南は、ベッドに向かってる最中に隣の床に揃えてある★マークの上履きを見て、隣のベッドに眠るのが彼だと確信した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る