第34話

犯人の見た目を思い出そうとしてみる。


……無理だ。


時雨くんに必死で、周りが見えてなかったんだ。


入院前にも着ていた、お気に入りのパーカーが赤く染まっていってた。


触りたかった。


幽霊じゃなかったら触れたのに。


なんで時雨くんが死ななきゃいけないの?


絶対に許せない。


 もう一度スマホを見る。


犯人の特徴が書かれていた。


『 ・20~30代の男性

  ・ワイシャツに黒い上着、シンプルなジーンズ

  ・髪は少し長く、軽くウェーブがかっている

  ・永無駅方面に逃走』


駅の方に逃げたなら、電車で逃走したのかも。


永無駅は、通る路線が多い。


もう数日たってるから、かなり遠くに逃げている可能性が高い。


見つけるのはかなり大変そう……


そう思い、ふとスマホを見て、違和感を感じた。


犯人の特徴。


既視感を感じる。


情報を元に、姿を想像してみる。


想像してみて気づいた。


知ってる。この人。


駅の方に逃げて市外に逃走したと思わせて、市内に留まってたんだ。


たしか今日も見た。


決行は夜。


時雨くん、仇討ってあげるから。

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