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第32話

この世にもう時雨くんはいない。


幽霊になっててほしかったのに。


毎日時雨くんの病室に行った。


時雨くんの家にも行った。


お葬式にも行った。


でも、会えなかった。


時雨くんは、幽霊になってないんだ。


心残りがなかった。


私のこと、最期まで気づかなかった。


なんて虚しいんだろう。


幼稚園のときに出会って、10年以上もアピールしてきたのに。


全部無駄になっちゃった。


 なんで私は成仏とかしないんだろう。


私の心残りは、もう叶わない。


もうこの世にいる必要はないはずなのに。


はやくあの世に行かせてよ。

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