丘に降り立つ黒い翼

第1話

22時 少し過ぎ。

足早に星屑の落ちた場所へ向かっている。


この手をしっかり握る僕の大切な女の子が転ばない様

気を付けながら話し掛けた。



「レシェ、僕らは運が良いらしいよ。」

「そうなの?」


「うん。ロウソクと違って星屑は明るくて、長持ちするんだ。

おまけに星屑が落ちやすい場所は限られている上

いつも落ちるとは限らないからね。」



手を離して茂みを掻き分けてみつけた 鉛色の星屑。

少し割れたり崩れている。僕は両手ですくいあげた。


目を閉じて、静かに吹き込む。



「陽に愛でられし星の子よ

闇をも裂きし光の記憶 今解き放て」



鉛色は少しずつ光を放ち始めたかと思うと

たちまち太陽の光を浴びた記憶で、きらめきだした。

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