第14話

「待って」


「何?」


「えーっと…、あたしもしてあげる」


「いいよ。しなくて」


「でも…」


「もう我慢出来ないから」 



軽く抵抗したあたしに東郷はちょっと困ったような顔で声も無く笑った。



宥めるようなキスが落ちてきて「後でもう1回しよ」なんて強請るような誘いを口に出され、何も言えずに黙る。


 

誘ったのはあたしのくせに今更待てだの何だの止めて自分勝手な女だ。



でも…。


あっさり受け入れる事も出来なければ、簡単にどうぞとも言えなかった。



他の男とヤると思ったら抵抗感。


強烈に自覚して心が痛い。


気持ちがゴチャゴチャ。

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