第78話

完全にしくったわ。


店に現れないから“この辺りには居ない”って勝手に油断してた。


貴ちゃんの性格を考えれば、私を探しに仕事先に来ることくらい当たり前だったのに。





「貴ちゃ……」


「めちゃくちゃ探し回ったんだけど」


「……ごめん」

  

「電話もラインも無視するし。おまけにアドレスまでなんで変えてんだよ!」




落ち着いて貰おうと思ったけど、無理だった。


“やってる事がおかしいだろ!“とギャーギャー怒鳴られ、顔を叩かれ、太ももに蹴りまで入れられる。



手加減なんて一切なく、これでもかと苛立ちを詰め込んで。




いきなりだったからろくに身も守れず、されるがまま。


身を丸めて唸ることしか出来ない。



“とにかく早く終わって欲しい”って、頭に思い浮かぶ言葉はそれだけ。


痛すぎて息が止まりそう…。



滑稽なくらいボロボロにされてしまって、ただただ震えることしか出来ない。

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