村田

第11話

「別れりゃいいじゃん。そんなクズ」


「それができれば苦労はしない」


「……アホの極みだね」




ふわふわパーマの黒髪の青年が眼鏡越しに私を憐れむような目で見る。




貴ちゃんに追い出された後。



マンションを出て数分の場所にある友達の村田の家にきた。



パソコンとゲーム環境が整った、一人暮らしにはちょっと広めのマンション。



村田の飼っている三毛猫が“リンリン”と鈴を鳴らしながらパソコンの前を横切っていく。




ゲーマーの村田はまさにゲームの真っ最中だったけど、ドアを開けるなり「泊めて〜」とヘラっと笑った私を「しょうがないな」と言いながら家に入れてくれた。



夜中だというのにシャワーまで借りて、これまた借りた村田のTシャツに身を包んで、のんびりと過ごしている。

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