第71話

それでも、お兄ちゃんが通っていた高校に行けば何か手掛かりが掴めるかも知れない。


安易な考えだが、そう感じる。




「私、バカなんです」


「嘘つけ。チエミは頭がいい、テストも毎回3位以内に入ってる。って昴が散々自慢してたぞ」


「……バカになったんです」


「何だそれ」




ふっと小さく笑う彼。


私がお兄ちゃんの妹だと分かったからか、些(いささ)か緊張が解けたように見える。



若しか……しなくても、この人はお兄ちゃんの友達なんだろう。


懐かしむように穏やかに細めた眼差しからは全く敵意を感じない。

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