第8話

本当の性格を見極めているようで見極めていない。


それでも人は自分が知ってる姿が正しいと思うし、正しいと言う。


自分が正しい答えを導き出せていると思いたいから。



しかし、言いたい。


声を大にして山の上から叫ぶように言いたい。



客観的に見てから物事を言え。ドアホ、と。




はぁー。鬱々する。


しかも名前だよ、名前。


私って名前からして、ちょっとあれだ。


あくやくわこ、悪役かよ!と自分でも突っ込みたくなる。


なんなら「“い”を付け足したら悪役怖~いになるよね」なんてネタにされたこともあった。



そりゃもう思春期の頃はもっと考えて名前を付けてくれてれば…と、思ったし、親と喧嘩をしたりもした。


だけど、今はもうそれも私の人生かと開き直っている。



むしろ、ここまで来たら一層のこと、悪役ライフを楽しんでやるわ。


うじうじ生きるより、そっちの方が楽しいじゃん。



そう思って昨日、元々黒かった髪を更に黒く染めた。


黒さの上塗り。闇のコーティング。


私だって生まれ持った本来の色は割かし良い色してるのよ、髪も心も。誰にも見せてやらないけどね。なんて心の中で1人寂しく呟きながら染め粉で黒に染めたのだ。

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