プロローグ
第1話
此処は東京都にある『私立条泉高等学校』1年C組の教室である。
夏を引き摺りながらも秋へと移り行く9月の中旬。
叱っていた筈の教師・西田の頬は秋を先どったような紅葉色に染まった。
事の次第を説明すればこうである。
古文の教科担任である西田はこの1年C組に
短歌を作成するよう宿題を出したが、忘れてきた生徒が居た。
居眠り常習犯にして、成績は優秀、恵まれた容姿を鼻にかけない
神が二物三物惜しみ無く与えた様な生徒だ。
だがしかし、忘れてきた事に目を瞑ろうものなら他の生徒に示しがつかない。
それ故に叱り、今作るよう言い渡したのが3分前。
ああ眠い ひたすら眠い マジ眠い
西田の美声子守唄かな
ああ眠い ひたすら眠い マジ眠い
西田よ優しく 眠らせてくれ
ああ眠い ひたすら眠い マジ眠い
西田の膝で 眠りたいかも
これが件(クダン)の生徒、神林 直(カンバヤシ ナオ)のノートであり、今に至る。
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