第58話

自分で自分を止められなかった。




「……そんなに男に抱かれたいんだ?」




今、祐希を傷つけてるのは




「……他の男に抱かせるくらいならさ……俺に抱かれてよ」




間違いなく俺なのに。




あの公園以来、初めて祐希の意識がある時にキスをした。




嫌がったら止める。




そう心に誓って。




でも、祐希は



「涼……」




俺の背中に腕を回してギュッと抱きついてきた。




祐希の気持ちがわからない。




どうして……好きでもない俺に抱かれたいと思うのか。




それに今の俺たちの関係は“ただの幼なじみ”で、恋人同士なわけでもない。




こんな勢いで抱くべきじゃない。




そう頭の中では理解してても抱きたい感情で心の中が支配される。




行為を進めても祐希は嫌がらなくて。




こんな顔や声を俺だけが知ってるんだって思ったら、嫌になるくらい独占欲が満たされた。




子供の頃から、ずっと大好きだったけど……。




この日初めて、好きって感情に限界値なんてないんだって思い知った───。

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