第55話

「ちょっとショウ。早く起きてよ~」




日曜日の朝。激しめに肩を揺らされて目が覚める。



うるせぇな……。と思いながら体を起こすとカンナが不満げな顔で俺を見ていた。



目が合うなり「起きて〜起きて〜」って人の腹の上に飛び乗ってガキみたいに足をバタバタ。



ふざけんな。重いだろ。




そもそも、なんで朝からこいつが俺んちに居るんだよ。



しかも拗ねてるし。



意味がわかんねぇ。




「うぜぇ。帰れ」



「帰れ~じゃないっ。早く起きて着替えてよ」



「はぁ?」



「そろそろ家を出ないと映画の上映時間に間に合わないから」




焦った感じに俺の腕を引っ張ってカンナはギャーギャー騒ぎながら俺を急かす。



しかし、体がフリーズ。



映画に行くなんて話、知らねぇし。



約束もしてなければ誘われてもないのに“行く”って前提で話が進んでてマジで謎。

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