第25話

「じゃあな」




玄関のドアがパタンと音を立てて閉まる。



リビングから大人達の楽しそうな話し声が聞こえたけど、そっちには行かずに自分の部屋に戻った。





色々あったけど、2人が幸せそうで良かったな。と純粋に思う。



そりゃ、すっげー好きだったけどさ。



奪ってやりたい、と思ったりもしたけどさ。



あいつがカンナを一途に思い続けてたのは俺も知ってたから。



だから、あの2人が結ばれて本気で嬉しく思う。



でもさ……。





「後2年早く生まれてきてりゃ、俺にも少しはチャンスがあったかな……」




中に入った瞬間ベッドに飛び込んで、言ったってどうしようもない本音を零す。




俺の青春の1ページは、嬉しさと楽しさと少しの糖度と最後にしょっぱい味がした。




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