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「遅くなってすまない」


 空港から直行で翠々の自宅へ赴いた。

 忌引きで会社を休んでいた彼女は泣き腫らした顔で目の下にクマを作り、すっかりやつれてしまっていた。


「琉輝さん、アメリカから来てくれたんですね。ありがとうございます」


 涙目で頭を下げる翠々が健気で、切ない気持ちでいっぱいになった俺は気がつけば彼女をギュッと抱きしめていた。

 もっと早く駆けつけて、俺がそばにいるから大丈夫だと安心させてやりたかったのに。好きな人をひとりぼっちで泣かせていた。

 これほど自分を不甲斐なく思ったのは生まれて初めてだ。


 それからの俺はなんとしてでも日本に戻ると父に訴え続けた。

 絶対に言いくるめられたリしないし、自分の考えは曲げないと気持ちを固めていた。

 アメリカが嫌なんじゃない。翠々のそばにいたい一心だ。


 そしてそれから半年後、俺はやっとアメリカ生活に終止符を打つことができた。

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