敬礼※
私のこの手は汚れてます
だから希望が消えていくんです
奥底から消えてしまうんです
死んで消えてしまいたくなります
人は言う
生き抜け! そう
つぐないの道半ばは重すぎて
しんどいものです
とてもじゃないけど
生き抜ける気などおきないほど
人は厳しくののしります
心ないことも言うものです
ある日のことです
心の奥にあった
時計の針が止まったとき
楽になりました
この行き場のない私を包んだのは
抜け殻でした
もう 心を動かすのをやめてしまったけど
もう この口で私を信じてと言えないけど
私の存在は これで完成となりますと
でなければ膝がふらつくんですと
そう 逃げの道を歩きはじめていたころでした
夏の窓のそとで
大きな声がしました
それは目が覚めるような さえざえとした声でした
我々の国は負けました
生きてるだけで価値があると言われても
ついと懐疑的になって 私は日頃から
自分の手を洗います
もちろん敗れた今日も 変わらず洗います
洗う水がなければ 洗うフリをします
わかりますよね?
誰かこの痛さを ぬぐい去る方法を
教えてください
そう思ってるからです
考える頭も心も もう残っとらんのです
見ようとする頭と心を信じなければ
この闇は晴れない 時代の変革だって同じこと
そうはわかってるにも関わらずです
外人がなんですか 我々がなんですか
人の数だけの心持ちを
どこでも私は感じていました
それで思っていました
無限ともとれるこの自己嫌悪がある限り
私は罪人ですと
これから
罪なき人が増えてくれさえすれば
それでいいと
私の分は ごめんなさい
ごめんなさい と
その謝罪は彼が言ったものか
私が言ったものかわかりませんでした
気づけば膝からくずれおちてました
だけどすぐにいなおって
見知らぬ誰かにむかって
そっと敬礼をしたのでした
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