第35話

frontの俺は、何だってする。



 場所でも人でも、物でも、情報でも。


 何だって探すし、探るし、操作する。



 仕事は単発で。時々同時進行で。それから理由も知らされまいままだったり、自分で判断を迫られたり。



 合法、違法。     何だって。




 

 しばらくは、首都で、ごちゃごちゃと働いていた。




 いつか、時間が経って。ほとぼりが冷めて。で、Tと八嶋の結婚式にフラリと出席してみたり。或いは。


 誰とも付き合ってないTに、さりげなくアピールしちゃったり。


 それとか。


 レベルの低いヤツと一緒なら、容赦なく“操作”して、独り身にさせてから慰めてやったり。



 

 時々妄想できればそれなりにhappyでいられる俺。安い男。





 

 

 いつものように、携帯が鳴った。



『ターゲットに接近。立場の確立』


「へ~い。かしこまり~」


 呼び出された部屋で、資料を見せられる。


 対象者はでっかい会社の社長さん。ふぅん。まだ若いじゃん。おお、かっこいい。この人の懐に入ればいいワケね。



 俺は、気楽に頷いた。

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