第2話
どうして私、この人に抱かれてるの?
小澤さんの漆黒の髪に指を絡ませ、私は熱い息を吐く。
彼の舌は私の鎖骨をなぞり、そこから首筋、耳朶へと上がってくる。唇で、舌で、そして時折は歯を肌に食い込ませ、私の肌を蹂躙する。
ただ朦朧とそれを受け止めていた私だけど、だんだんと小澤さんの愛撫が手加減なく激しくなるのに気付いた瞬間、意識の端で小さな声を聞いた気がした。
間違ってる。
こんなの、よくない。
躊躇いに息をのむ私に、小澤さんは眦を吊り上げた。
「 ── 何を考えている?」
顔を上げて、低く問う。
切れ上がった瞳は、ぞっとするぐらい黒くて艶があって──何より容赦なく私を射る。
答えない私に、小澤さんは口角を上げた。
「諦めろ」
直後、逃がさないと言わんばかりに腰や背中に回していた腕の力を強め、責めるように私の乳房に歯をたてた。
「…んっ」
鈍い痛みと共に驚くほどはっきりと、そこから快感が広がる。
すると今度は甘やかすように、乳房の先の尖りを執拗に舐めた。唾液を塗りつけ、唇でやわらかく包んでその中では舌が遊ぶ。それに気をとられているともう一方の胸先を長い指で弾かれる。コリ、と潰される。
「あっ…んっ」
それは明らかに嬌声で、自分で発しておきながら羞恥が沸き上がり、そのことにもっと体は熱く変化していった。
「── それでいい」
満足したような笑みは、ただ意地悪なだけだ。
乱れる呼吸に上下する私の胸から唇を離さずにしゃべるから、そのわずかな振動ですら私には強い刺激になる。
「感じていろ」
そして小澤さんの薄い唇は、少しづつ下へ移動していった。
みぞおちから、おへそのくぼみに。舌先が繊細に線を引き、唇が肌を擦る。
恥ずかしさに太腿を閉じようとすると、小澤さんは私の両脚を広げて身体を割り入れた。私の腰を掴むその指の強さに、じわりと奥が滲む。
「拒むな。俺を受け入れろ」
命じることに慣れたその言葉に、愛撫に、私は陥落した。
そこからはみっともなく喘いで、体を振るわせて、擦り付けてしがみついて、爪をたてて。
小澤さんがグッと入り込んできた時でさえ、どん欲に足を開いて体を震わせた。
「上出来だ」
弾む呼吸の合間に聞く彼の声は、いつもより低く掠れていた。
「忘れるな。お前に快感を与えるのは俺だ。他の男じゃない」
強く腰を打ち付けられて、ギシリとベッドが軋んだ。
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