第20話

「鈴宮、お前さ……」


お菓子を食べていた音が聞こえなくなった。


「何? 集中してくれない?話しかけてこないで」


「ポッキーが今、会議で居ないから話すけど、アイツと何かあっただろ」


何かあっただろって、先生とあたしの関係に気づいてるの?


まさか、そんなはずないよね。


焦った態度を見せないようにしているものの、バレてないかと心臓の音が激しく鳴る。


「なんか鈴宮、前は幼い雰囲気だったのに、急に大人びてきたよな。ポッキーに惚れてんの?」


中村が今どんな表情してるか、分からない。見たくない。きっと軽蔑してるんだ。


あたしは描いてる手を止めて、自分の絵を見つめた。


中村の顔なんて見たくない。


あたしが先生を好きなのを知ってるみたいな口ぶりが嫌だ。


「お前、ポッキーに奥さん居るの知ってるだろ。それに教師と生徒の恋愛なんて実るはずない」


「な、何が言いたいの。あんたに何が分かる」


「分かるよ。鈴宮の変化くらい。ちゃんと見てるから」


は? 中村が、あたしの事なんて分かるの?

気持ち悪い。


「気持ち悪いって、言うなし。そんなんじゃねえよ。俺はただ……鈴宮が」


あまりに嫌だったからつい、気持ち悪いって口にしてしまっていた。


あたしが何? 心配だからとか、どうせ言うんでしょ。

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