第16話

互いの唇が離れると、唾液がつーっと2人を繋いでいた。


「僕は教師で結婚もしているのに、鈴宮さんを好きになってしまった。いけないことなんです。だから僕を止めてください。お願いだから……」


先生が泣きそうになってる。




でも、止めてあげない。


涙がこぼれそうなその顔はあたしをより一層興奮させる。


大好きな先生と結ばれたい。


教師だろうと、結婚していようと構わないから。



あたしは先生を愛したい。


「先生。大好きだから、止めたくない。もっと先生が欲しい」



理性なんて持たせたくないから、あたしは先生の耳元で囁いた。できる限りの甘い声で。


先生を壊してしまおう。理性というものを手放してもらうんだ。


悪いあたしが、そんなろくでもない考えを頭に浮かべてるから、笑ってしまう。

今までそんな自分を知らなかった。


あたしはいやらしい顔をしてる。自分で分かる。


「もう、先生。あたし我慢できない。もっと先生でいっぱいにしてよ」



先生が甘たるい表情に変わったので、そそられた。


ああ、早く先生でいっぱいになりたい。

頭も、心でさえも全部。

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