結いの約束~記憶に残る蜜の香り【北部編】

蓮華〈レンゲ〉

表紙

「蓮伽さん、もうすぐ着くって。」




深澤くんの厚めの唇と声で目を開けた。


「......近い。」


「おはよ、もう着くって。外見て。」



もちろん真っ暗で、眼下は素晴らしい夜景が広がっている。


「おはよう、深澤くん.....飲み物ちょうだい。」


口が開かないほど喉がカラカラだ。


「口移しがいいでしょ?」


更に顔が近づく。


「......イヤ、大丈夫」


ペットボトルをひったくり、グビグビ飲み干す。




―————―子犬系の超大型犬の彼は、深澤くん。


無事前夫と離婚し、お付き合いをしている。


15歳も年下が下で、俗にいう”若いツバメ”だが50歳の私が引くほど狂愛してくる、変わった人だ。


最近は愛情が猟奇的すぎて、ほどほどにかわしながら過ごしている。

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