第16話
月曜日、久しぶりに出社するとみんなが心配してくれた。
業務に支障が出たことを謝ると、風邪だったんだから仕方ないよ気にしないでと気遣ってくれる。
みんな優しいな。
係長にも電話をいただいてたことを謝ってから、課長がいることを確認して課長の席に向かった。
椅子の背もたれに体重をかけて私を見上げた課長は、ふんわり優しく微笑んでくれている。
「先週はご迷惑おかけしてすみませんでした。色々と助かりました」
「良くなったのか?」
「はい、おかげさまで」
「そうか、まぁ無理はするなよ。まだ病み上がりなんだから」
「はい、ありがとうございます。では、失礼します」
いつもと変わりない課長の態度にホッとしつつ、なんとなく寂しくなったのは気のせいじゃない。
愛想笑いじゃない、本当の課長の笑顔が見たいと思ってしまった。
午前中は先週のうちに溜まった仕事を片付けるのに追われていた。
社畜…なんて呼ばれるくらい頑張ってたつもりの仕事も、大半は課長が他の人に振り分けてくれてたみたいで、それ以外の溜まった仕事をこなすのに必死だった。
なんだかんだ言っても、やっぱり課長には迷惑しかかけてないんだと思うと、情けなくなってくる。
憎まれ口叩いても、やっぱり敵わないんだって自覚してしまう…。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます