コトリはやさしく癒される

吉生伊織

プロローグ

第1話

重なるその手が私だったら、隣に立つのが私だったら……。



そんな願望を抱くくせに、この気持ちを気づかれないよう無理に作った笑顔でそれを隠す。



「独占欲丸出しなんて重いよ」



なんて分かったフリしながら、彼女との惚気話を聞いている私。



――顔で笑って心で泣いて。



鼻の奥がツンとするのを我慢するだけで、仲のいい同期というポジションのできあがり。

そうする以外、彼の近くにいる方法はないのだから。

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