第89話

「当たり前だよ。どう考えても怪獣はママしかいないんだから。ママがヒーローになれるの?お姫様になれるの?無理でしょ。ほら、早く怪獣になりきってよ」




いったい、誰に似ちゃったんだろう?




いや、それもこれも全部……





「ええかー。教えといたるわ。女の正しい落とし方を!!」




「じゃあ、俺はカッコイイジッポの付け方を教えてやるよ」




こいつらのせいだ。




今日、日曜日だからって2人とも朝から私たちの家に遊びにきた。



朝の7時から。




それは別にいい。




でも……。




「もうー!名倉もお兄も来る度にアヤトに変なことを教え込まないで!」




「何言うとんねん。英才教育してやってるんやろ」




「そうそう。これぐらい出来ねーとな」




リビングのソファにふんぞり返って、アヤトの頭をグシャグシャになでるお兄と名倉。




2人とも高校生の頃から変わっていない。




名倉がちょっと禿げたかな?ってぐらいで。

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