第86話

「そやな……じゃあ、さっき言ってた“クロール対決”で勝負な」



「……え?」




「加奈子が俺に勝ったら付き合ったるわ!」




言うと同時に俺はダッシュで走り出した。




「あ、ちょっとシゲくん……!」




加奈子も慌てて追い掛けてくる。




「俺が勝ったらかき氷奢れよ?」




「わかった。私が勝ったら……」




「付き合う。男に二言はない!」




砂浜を全速力で駆け抜ける。




ってか全速力やのに、きっちり隣に並ぶ加奈子って……。




「シゲくん。私、小学校では6年間スイミングに通ってたの…っ」




「へぇ……っ」




「中、高と水泳部だし……っ」




「お、おう……っ」




「去年はインターハイで……優勝したーっ!!」




「待てぇーっっい!」




水しぶきが上がる。




山崎たちがガン見してた。




むしろ、周りにいてた人らが全員俺らを見てた。




まぁ、結果は───。

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