第78話

「…セミナー、あるから。場所が九州で…どうしても一泊することになると思う」



「セミナー…?」



「そう、前から受けたいと思ってた講師が開催するセミナー。アップのヘアスタイルのやつ…菜々にも話したことあったと思うけど」




憧れ、というか…尊敬しているヘアスタイリストさんみたいな人が颯斗の中で何人か存在することは私も知っている。




そのうちの一人が開催するセミナーに、遠征して参加したいということだろうか?




「そっ…か、それなら仕方ないよね」



「…ごめんな、一緒に帰ってやれなくて」




ううん、違う…違うんだよ、颯斗。私が本当に聞きたかったのはそういう事じゃなくてっ─…





「そのセミナーって、誰と行くの……?」





聞きたいのはどこで、何があるのかじゃない。



─…知りたいのは”誰と”行くのかって、話し。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る