第76話

「……っな、、菜々」



いつの間にか…眠ってしまっていたみたいで、颯斗が私の名前を呼ぶ声で目が覚めた。




「そろそろ起きろ、遅刻する」



重い瞼をゆっくりと持ち上げると、、

既に出勤準備の整ったカリスマ美容師颯斗の姿がそこにあった。




「……もう、行くの?」



「あぁ、先に出るけど…菜々、体調悪い?」



ピトッ…と私の額に手のひらを押し当てた颯斗。その手が冷たくて心地よかった。




「……熱は無さそうだけど。具合悪いなら、休むか早退しろよ?」




心配しているのか、眉をひそめながらそう言った颯斗の顔を見て…夜中に見たメッセージのことを思い出し慌てて飛び起きた。




このまま仕事に行かれては困る、っと勢いよく飛び起きたせいで…ギリギリのところで寝ていたのか、、バランスを崩しベッドから転げ落ちてしまった。





「……何してんだよ」



っと、呆れ顔の颯斗を見て……泣きそうになる。

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