第56話

もう早く帰って颯斗と二人きりで家でまったりとしたい。っと思い始めた頃、、




「あ……悪い、先に食べてて」




着信が入ったのか、ブーッと音を立てて震えるスマホを片手に席を立ってしまった颯斗。



天敵である鷺坂さんと二人きりにされてしまうと何とも言えない緊張感を抱いてしまう。




「まったく、忙しい奴だなぁ。菜々ちゃんも大変だね?颯斗みたいなカリスマが彼氏だと不安になったりしないの?」




確かに……カリスマ性のある美容師の颯斗はすごいと思うし、自慢の彼氏である。でもその前に、




「……颯斗は颯斗だから。私たちの関係は子どもの頃から変わらない。だから不安なんてっ、」



「どうだろうね?俺と違って颯斗は仕事に真っ直ぐで真面目だし。その上、あのルックスだからなぁ…一緒に働く若い女性スタッフはみんな好きになるんじゃない?」



「……どういう意味ですか?」



「俺たちの仕事ってさ、拘束時間がめちゃくちゃ長いんだよ。家で家族と過ごす時間より、店のスタッフと居る時間の方が余裕で長いわけ」




……なんだか、嫌な予感がした。



この先は聞かない方がいい、っと判断し…鷺坂さんを無視して目の前のお好み焼きを取り分けようとしたとき…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る