第53話

っと…慣れた手つきでタブレットを操作して、颯斗がメニューを注文してくれた時だった。




「颯斗っ!!昨日…ってか今日?迎えに来てくれたんだよなぁ?!ごめん、マジでごめんっ」




何処から現れたのか、突然登場した颯斗の友人である鷺坂さん。この人が真夜中に酔いつぶれたせいで颯斗の貴重な睡眠時間が削られたのだ。




なぜここに居るのか不明だが、私としては早急に彼には立ち去ってもらいたいところではある。




「別に、今日休みだったし…」



「いや…迎えに来た時の颯斗、めちゃくちゃ不機嫌だったって修司達から聞いた。あの時間だもんな…迷惑だったよな、ごめんな」



「いいって…それより今、メシの時間を邪魔されることの方が迷惑。なんでお前いんの?」



「え、なんでって。迷惑かけたからお礼に晩飯奢るってさっき電話したら、今から菜々ちゃんと飯行くって言うからさ。ここだろうな、と思って」



「……うざっ、帰れよ」



「えええ、いいじゃん。俺が奢るから!ってことで、ご一緒してもいいかなぁ〜…菜々ちゃん?」




多忙の颯斗は友人とご飯に行く機会なんてあまり無いだろうし、この人に関しては昨夜酔いつぶれていたという事実を知っている手前…



嫌だ、なんて言えるわけもなく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る