「……アイツ、なんか言ってた？」

突然出てきた”アイツ”という人物を指すような言葉に心当たりがなくて首を傾げて見せると…今度は不機嫌そうに顔を歪めて、、

「あの八雲とかいう…やる気の無さそうな男」

八雲、という名前が出てきて…今朝送ってもらった時に颯斗に紹介したことを思い出した。

…それにしても、、

私が八雲先生によく分からない発言をされたことに勘づいている様子の颯斗に驚いた。さすが美容師さん、洞察力が半端ないです。

「歓迎会を欠席したことについて、何か冗談みたいな意地悪を言われたけど…それ以外は別に。」

他にも色々言われたことはあったが…この内容は嘘では無いので。スラスラと語ることが出来たおかげで颯斗は疑っていないように思えた。

「……そっか」

っと…何とも曖昧な返事を返され、それ以上私も何も言えなかった。

少し気まずい空気が流れたが、その後すぐに車が動き出して…沈黙をかき消すように車内に音楽が流れ始めた。

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