第8話

【今日は何時頃帰ってくる?٩( ´ω` )و】




夕方、いつも送るそんなメッセージに既読がつくのは決まって20時半を回る頃。颯斗は基本仕事中にスマホを見ない。




いや、正確にはメッセージアプリを開かない。自身のスマホを常に持ち歩いていることは知っている。お客さんとの会話でヘアスタイルの写真や画像を見せる場面があったりするから─…




スマホを常に持ち歩いていることは、知ってる。





「……今日は記念日だよ、颯斗」



高校の頃『菜々、お前俺の彼女だろ?』と言ってくれたあの日を私は勝手に記念日として扱っている。



もちろんそんな話を颯斗にしたことは無い。




幼い頃から一緒にいるので、彼の好物は知り尽くしている。だから今日の夕飯は颯斗の大好物であるロールキャベツを作ろうって決めていた。トマトを沢山使ってクタクタに煮込んだトマト味のロールキャベツ。




子どもの頃から颯斗は大人びていた。ハンバーグやカレーライスが好きな男の子たちの中でひとり焼き魚が好きだと言うような男の子だった。




そんな颯斗を喜ばせたくて、颯斗のお母さんに子どもの頃から沢山…颯斗の好物の作り方を教えてもらった。




だから手料理にはかなり自信があったりする。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る