第74話
「なんで?別にええやんけ」
名倉は不機嫌そうな顔で、成宮君に突っ掛かる。
「良くないから。山崎さん困ってるだろ?」
成宮君は、ため息をつきながら名倉に呆れた声を出した。
成宮君……私を心配してくれてるんだ?
ちょっと……いや、かなり嬉しいっ。
「そんなことないでなー?山崎もネクタイを外すシーンみたいやんな?」
名倉が成宮君から私に視線を移して、そう聞いてくる。
保健室でネクタイをシュっと。
うん。見たい。
もの凄ーく見たい。
でも、やっぱり相手は名倉じゃなくて……成宮君がいい。
「成宮君と、誰もいない放課後の保健室で……」
顔が熱くなってきた。
成宮君にそんなことをされちゃったら……私……。
私……!
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