第58話

「お兄さんがいるの?」




「血は繋がってないけどね。3年の真辺翔平だけど……成宮君知ってる?」




お兄ちゃんと成宮君って絶対接点なさそうだけど。




「3年の?知らないよ?」




「あ、やっぱり?」




予想的中だ。




「あのさ、聞いてもいい?」




成宮君は、顎に指をあてて首を傾げながら私にそう聞く。




「うん?なに?」




「一緒には住んでるの?」





「まさか! お兄ちゃんはパパの再婚相手の連れ子なの。だからパパたちと一緒に住んでるよ?」




でも、お兄とは本当の兄弟みたいに仲がいいから、よく遊びに行ったりはしてるけど……。




「そっか。それならいいや」




成宮君は、私の言葉にホッと息をついて微笑む。




ん?ホッと?




き、気のせいかな……?




「よし! 出来た!」




ネクタイが結び終わった私は、成宮君の胸をトンっと叩いた。

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