第92話
自分を諦めて……?
「正直、りせとそうなるまで分からなかったけれど、」
「川嶋先生……あの、」
アタシは思わず彼を見る。
彼は困ったように笑ったけれどそれは少し淋しさも混じっているように見えた。
「でも、あの時は自分でも分からなかったんだけどね……分かったのはりせが居なくなった部屋に残された自分に気付いた時かな。」
そう言って川嶋先生はアタシの髪を梳く。
その仕草が胸を切なくさせてるなんてきっと知らない。
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