第50話

「白石さん、お疲れ様でした。」


川嶋先生の声が聞こえると第4エコー室が明るくなる。


「終わったみたいね。ほら、早いでしょ?」


彼の担当の看護師はそう言って第4エコー室のドアを開けた。


すると川嶋先生が入れ違いに出てきた。


アタシの動悸は半端なかった。


それは自分で制御できない事。


アタシは俯き加減で彼に頭を下げた。


「あ、そういえば、」


突然川嶋先生はアタシの真横で声を発する。


え!?


アタシの身体は固まる。


「今日、浅野先生って出勤してるか分かりますか?」



……彼はアタシを見て、


アタシじゃない名前を言葉にした。

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