Lovesick 33

第94話

「どうして腹膜炎になるまで我慢してたの。気を失う痛みだったはずだけど、」


「だから気を失ったんじゃねーか……、」


「波久!」


思わず大声を出してしまったせいでICUのフロアにいるスタッフの視線が一斉に波久のユニットに集中する。


すると波久はバツの悪そうな表情をした。


「だってお前は菜々の両親に会いに行く重要なミッションがあっただろ?それで俺がオペとかになってみろ?水をさすような事はしたくねーよ。」


それを隣で聞いていた笹川さんが興奮し始める。


「えっ、浦崎先生とうとう彩さんのご両親に会ったってことはもしかして……っ、」


「笹川さん、ちょっと静かに。そして俺の兄のケアをお願いします。」


「えー、話もっと聞きたーい!」


「ばーか、お前になんか言わねー!」


「は?あ、そうですか。14時からの鎮痛剤点滴キャンセルしますね。」


「はぁ?笹川お前俺を悶絶させる気か!」


「そーでーす。」


波久は、これだけ元気なら早く退院出来そうだ。

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