第54話
突然名前を呼ばれるからドキッとする。
「彩さん、て呼ぶから距離が縮まらないのかな?身体の距離はゼロなのになぁ。」
浦崎君は笑いながら冗談ぽく言う。
そんな事言われると混乱する。
「俺の事も凪、でいいから。」
「そ、それは無理っ!」
そう言うと彼はちょっと呆気に取られたように私を見る。
「え?どっちの話?菜々、て呼ぶコト?俺の名前呼ぶコト?」
「浦崎君の事な、名前で呼ぶのはまだ高度過ぎるから。」
言いながら汗が出てくる。
今の私の顔きっと真っ赤だ。
「……ふうん、高度ねぇ。」
彼は何か含んだような言い方をする。
「まぁいいよ、そんな事考えられないようにすればいいだけの話だね。さ、ランチ行こう菜々。」
そう言って私の手を握る。
少し体温の低い彼。
なのに私は体温が動悸と共に余計に上昇した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます