0‐2イエロー

 時が経ち、私たちは小学生になった。

 あの日以来、幼馴染みとは園で顔を合わせられなくなったけれど、それでも一度家に帰れば相変わらず一緒に遊ぶような間柄のままだった。

 そんな私たちは、学校の配慮もあってか同じクラスになることが出来た。


 クラスには、同じ園に通っていた別の男の子がいた。

 橋本はしもと流星りゅうせいくんという綺麗な名前の子だった。

 幼馴染みとはどうだったのかは知らないけれど、私は彼と話をしたことがないし、顔も見たことがなかった。男の子だったから。

 でもそれが一番の理由なだけで、園の環境に馴染めなかった私は全くと断言出来るほど友達が作れなかったわけだし、どのみち顔見知り程度で終わったであろう。


 ともかく私は、この性別というものに妙に苦しめられる生き方になった。

 それは私自身が複雑だったことも原因だった。


 元々可愛いものが好きで、見た目は女の子らしく装いたがる一方で、趣味や嗜好は男の子っぽいところがあった。

 それだけではない。何より私は、女の子が苦手だった。


 園で友達を作れなかったのが理由?

 いや違う。単に私がどうすればいいのか掴めずにいただけで、特別女の子との嫌な思い出があったわけではない。

 では、なぜか。それは、女の子が男の子と仲良くすることに対して、いやらしいという考えを持っているからだ。


 女の子は男の子に比べて大人びているとよく聞くけれども、それでいうと私は他人より遥かに幼かった。

 性別に対して意識し始める小学生の女の子たちには、私のこの稚拙さは淘汰すべき事項だったようだ。


 私はただ、男の子よりも可愛くて女の子よりかっこいい、スカートを穿いた戦隊もののイエローになりたかっただけなのに。

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