第263話

前戯は今までで1番長くて、丁寧だった。



「ん、っ…あっ……」



首から胸にかけて至る所にキスをして、中に入っている指を動かす。



グチュグチュ聞こえる音が恥ずかしい。



「大丈夫か?」



そう聞いてくるも、今までにない前戯で頭がぼーっとする。



無意識に叶斗の背に手を回し、浴衣を掴む。



私のその行動に、優しく微笑んでくれる。



チュッ、とおでこにキスを落とされる。



「先に進むぞ、いいな?」



ゆっくりコク、と頷く。



トロトロに溶かされたため頭は理解していなかったが、身体が少し拒絶反応を見せた。



その少しの反応に叶斗の動きが止まる。



「ごめ、なさ…」



「謝るな。落ち着くまでは進まねぇから」



落ち着かせるため、頭を撫でてくれる。



「ちが、大丈夫…だ、から」



「怖がらせたくねぇんだ、分かれよ」



「大丈夫……私は、大丈夫な、の…シたい、シよ」



背中に回していた手を首元に回し、顔を自分の顔まで引き寄せる。



そしたら、少し間が空いてからため息をつかれた。



「怖くねぇのかよ…」



「ん…ぅん、私の、頭…おかしいの……今までにないくらい、指、気持ち、良かったの…」



そう言えば今度はもっと大きいため息をついた。



「お前なぁ……」



怒られるの…?



ダメだって、まだシないって…。



「あんま煽んなよ…ッ」

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