第176話

「千花様、お伝えしたいことがありまして、」



「何?」



「8月に入りますと、叶斗様と私は約1ヶ月家を空けます。その間は魁、結紀ゆきりゅうが前と同じように付きっきりでいます」



その話を聞いてまず思ったのは、なんで叶斗の口から言わないのか。



「それで?私にどうしろと?」



「いえ、お伝えしなければならない事でしたので…」



「私が何か言えば叶斗は行かないわけ?」



「それは、難しいかと」



「なら、どこへでも行ってくればいいじゃん」



私にその情報を言って何になるんだろう。



もう叶斗がどこに居ようと何していようと、ほとんど顔を合わせる事がない。



過眠症になった私とは時間が合わない。



「…朱羽は私の傍にいるものだと、勝手に思ってた」



「申し訳ありません」



朱羽の話を聞くために起こしていた身体をベッドに沈める。



そのまま目を瞑り、眠りにつく。

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