第16話

なんで私ってば、こんな物騒な場所で感じちゃってんの?と冷静に考えている自分が居た。




 相手は、ついこの間童貞喪失した男だよ?



 

 いつの間に、こんなテクニック習得しちゃってる訳....。






 



 塞がれた唇は、呼吸なんか取らせてはくれない。



 朦朧とし出す意識の最中で、私の奥を貫こうとする男のものだけに意識が集中する。





 きゅうっと、中を締め付けて、それが離れていかない様にと、必死なってるのは私の方みたいじゃないか。




 互いの唾液が絡まり、そして下は豪くびちょびちょで、冷たくて....




 厭らしくも立てる水音は、男が腰を打ち付ける度に、乾いた音と共に室内に響き渡る。




 静かな和室で私達の淫らな行為。嗚呼、駄目だと分かってても、私は根っからの欲求不満で、セックス依存症かもしれない。




 

「杏っ...俺を見ろ....。」




 久しく吸い込んだ新鮮な空気で、一気に脳が仕事をし始めた。



 冴えた視界で私を見下ろす男は、満足気に笑みを溢すと、そのまま私の中で果てたのだった。

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