第2話
離れるのは不安なので、クゥの周りで食べ物を探すヒロ。
しかし素人には、木の実やキノコも見つけられなかった。
「とりあえず村か町を目指さないとクゥも俺も倒れてしまうな」
ヒロはクゥの元に戻ると、クゥは丸くなって寝ていた。
「かわいい…」
ヒロはスマホを取り出してそっと撮影した。
カシャ、カシャ
「クゥは、寝てる時もかわいいな、容量が足りなくなってきたな…」
ヒロは撮った写真を数ヶ月に一度パソコンに保存していたのだが、こちらの世界に来る直前の夜にパソコンに保存しようと思っていたので、スマホの容量に余裕が少なかったのである。
ガサッ、ガサッっと茂みからまた音がした。
「!またなのか」
ヒロはモンスターが襲って来ると思い、折れて鋭く尖った棒を構えた。
しかし、予想はいい意味で裏切られた。
「お兄ちゃん、大丈夫です?」
そこにいたのは、10歳くらいの女の子だった。
「あ、え、あぁ…」
ヒロは、モンスターが来ると思っていたので少し混乱していた。
「そうですか!よかったです♩この森はとっても危ないんですよ。」
「変わった旅人のお兄ちゃん♩」
その少女は、どうやら俺を心配してくれているらしい。
心配してくれるのなんてクゥか、ネコが好きすぎて仕事中に遊んでいる時に、店長に頭の心配をされるくらいだ。
店長は悪い人ではない、可もなく不可もなくだが…
「初めまして、俺はヒロ、
その少女は、驚いた。
「貴族様だったのでしゅね!申し訳ございませんでした!」
少女は勢いよく何度も頭を下げた。
「いや、貴族ではないから頼むから頭をあげてくれ!ヒロって呼んでくれ」
少女は、その言葉に従いゆっくりと頭を上げて
「内緒なのですね。ヒロ様…私はとんでもないことを…命と村だけはどうかお願いします。」
と泣きそうになりながら、懇願された。
ヒロは、今とても困っている。
本名を言ったらなぜか、貴族扱いをされ
貴族でないと否定したら、なぜか命や村以外にはどんなことでも、のようなニュアンスで泣きながら懇願されているからである。
どうしたものかとヒロは、頭の中で考える。
(まずは、落ち着かせて、色々事情を聞かないとな)
(あと村って言ってたから食べ物なんかやこの世界のことも聞けるかもしれない)
(何かいいものはないか……!)
ヒロはリュックからある物を取り出し、少女の目の前に出して言った。
「まずは、これを食べて落ち着いて」
少女は
「食べますからどうか!」
と素早く手に取り口に入れた。
泣きそうになっていた顔が驚きの顔に変わっていた。
「ヒロ様、こちらは……」
ヒロは軽く答えた。
「アメって言うお菓子だ…甘いだろう、落ち着いたか?」
少女はアメをコロコロ口の中で転がしながらヒロに答えた。
「えっ、はい落ち着きました…あのこれってとても高価なものでは…どうしよう私には、払うお金が…う…う…うわぁん」
少女が今度は突然泣いてしまった。
どうしたものか、とりあえずアメをいっぱい持っていることを見せ、何もしない、大丈夫と言い続けてなんとか落ち着いた。
疲れた……
「ヒロ様、申し訳ございませんでした。…ヒロ様、何なりとお申し付けください」
と少女は言っているが少し怯えている。
ヒロはとりあえず、聞きたいことを聞くことにした。
「まず、君の名前は?」
「マリと申します」
その少女マリは、答えた。
村についても聞いてみる事にした。
「じゃあ、マリさん村って近くにあるのかな?」
マリは、
「マリで大丈夫です…歩いてすぐの所にございます。」
と答えた。
「案内してもらえるかな?」
「わかりました」
と答えマリは、案内しようと歩き出そうとしたので
「少しまってもらえるかな?」
「はい、わかりました。」
「クゥ〜おいで〜」
「従者の方がおられたんですね」
「いや、クゥは…」
そこにクゥがテクテク歩いて返事をした。
「にゃ〜」
それを見たマリは、
「……ね、ね、猫様!?」
とても驚いていたのだった。
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