第92話

ガタンガタンガタン




静寂する部屋に響く

大きな音。


郵便受けに何かをたくさん入れている…

そんな音。




嫌がらせをしている犯人が玄関の向こうにいると思うと怖い。


体は昨日のようにガクガクと震え始める。




「大丈夫やから」



ぎゅっと握られた手で優がそばにいることを再確認し、

二人は玄関へと向かった



相変わらず止まない音。


優がドアの覗き穴を覗いている。




「ね…どうだった??」



小声で優に尋ねると、

優は首を横に振った。



優の知らない人なんだ…



「美嘉の知っとるやつか?」



心臓をドキドキさせ、

覗き穴を覗く。





その先に見えたのは…






…先生?


先生だ。



バイト先の歯科医師の先生!!



先生はニヤニヤと笑いながら、

ひたすら郵便受けに何かを入れている。



なんで住所知ってるの?




…履歴書だ。


履歴書に住所書いたもん




だから最初に面接した時


一人暮らしかを聞いてきたの?



実家じゃこんなこと出来ないもんね。




警察に捕まっちゃうもんね…。

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