第86話

良かった。

聞く前に答えてくれた。



偶然元カノに会ったんだ……………………!?



元カノ!?



あれは

元カノだったの!?



しかも会いに来るって

本当に口だけ?



散々嫌がらせされてたんだもん。

口だけには思えないよ…



街で見掛けた時

声かけなくて正解だったよね。


かけてたらかなり修羅場になってた…。





次の日、

親に内緒で保険証をこっそり持ち出し、

ヒロと待ち合わせをして病院に行った。



前に一度行った総合病院の産婦人科で受付を済ませ待合室で待つ。




「記入お願いします」



一枚の紙を差し出す看護士。




【妊娠中の方

来院した理由に○をつけて下さい。

①出産する

②中絶する】




ペンを持ちながら、

一瞬ためらう。


両親の顔が

頭に浮かんだから…。




「もちろん①だろ!」



ヒロはためらう美嘉からペンを奪い、

①に丸をつけた。




「…うん!!」



紙を提出し

診察室へと呼ばれた。





「産むのかな?」



医者からの問いに

真っ直ぐ前を見て答える


その表情に迷いはない。



「産みます!!」



「では頑張って元気な赤ちゃんを産みましょうね!」

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