第18話 *
最終日は、講師を招いての陶芸体験だった。
森さんから「3人も参加したらいいよ」と言ってもらい、やらせてもらうことになった。
金井と碓井がマグカップを作る中、太陽は葉っぱの形のお皿を作った。
「ねぇ、もしかして日下部くん、不器用?」
「皿って、それただぺたんこに潰しただけだよな?」
「ほっとけ。こういうのは苦手なんだ」
「日下部くんでも苦手なものあるんだね」
碓井がケラケラと笑った。
金井が早々に作り終えて、席を立ったので、太陽は碓井に話しかけた。
「……ちょと、聞いてもいい?」
「私?」
「うん。あのさ、スマホの電源を切ってる時ってどんな時?」
「えー? ないよ、そんなこと」
「充電切れたら?」
「バッテリー持ってるから。でも、故意に切るとしたら……何かやましい時とか?」
「……やっぱ、そうだよな」
「もしかして彼女?」
「……まぁ」
「やめときな、そういう女は」
太陽が弱々しく笑うのを見て、碓井は付け加えた。
「それか、よっぽどの事情がある時」
「よっぽどの事情って?」
「そんなの本人にしかわからないよ」
「だよな」
「話してみてよ。何か言ってあげられることあるかもしれない」
「それは……」
「あのさ、私達、二度と会うことないと思うんだ。だからこの先気まずくなることもないよ?」
そう言われて、太陽も話してみる気になった。
「……彼女、スマホ2台持ってるのがわかって、オレが番号知ってる方だけ電源切ってた」
「あー……ごめん。それは、クロだわ」
「やっぱそうだよな」
「まだ好きなの?」
「すぐに気持ち切り替えるなんて無理」
「はっきり別れ話した?」
「一方的にオレが怒って、そのままこのバイト来たから話はしてない」
「私に言えることあったわ」
「何?」
「有耶無耶にしたら引きずる。キッパリ終わった方がいい」
「そっか」
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