2024年のバイアス。

枕詞

第1話 僕は意地の悪い人間だ。

「僕は意地の悪い人間だ。」

あなたはこの文章をご存じだろうか?

知っている人もいるかもしれないし、いないかもしれない。

これは何かの定型文でもないし、何かに対しての開き直りでもない。

これはドストエフスキーの初期の作品である「地下室の手記」に出てくるセンテンスだ。

この一見単純そうなセンテンスに僕は胸を打たれた。

共感した。といった方が正しいだろうか。

少し青臭いだろうか。あるいは中二病くさいだろうか。

でも、確かに僕はドストエフスキーに感化されていた。「罪と罰」にも「悪霊」にも「カラマーゾフの兄弟」にも。

決してかっこつけた訳ではない。

本能的にそう感じたのだ。

話を戻そう。

今でこそ、意識の渦に飲み込まれ、風のように彷徨っているが、それには理由があった。

こうなったのは、すべて「癲癇」のせいだ。

これは別にドストエフスキーを拗らせているわけではない。

生まれつきだ。

生まれ付きの癲癇を拗らせ、僕の不注意で僕は事故にあった。

どこかの作家的言葉を使うなら、この出来事は僕にとってまさに「やれやれ。」な出来事だ。

もちろんこんなに軽い出来事ではない。

今では、たぶん外から見た僕は植物状態だろう。

しかし、それでも今となってはどうでもいいかなと思っている。

それは俗にいう「諦めの境地」に立っているからだ。

オーガズムの後にくる時間のように。

なので、これまで経験してきた経験談的な話を話そうじゃないか。

あなたも気になるだろう。

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